○人材採用できない覚悟をもつ
2025年現在、日本全国のクリニックの経営者の頭を一番悩ませている問題は「人が採れない」ことではないでしょうか。
スタッフが退職し、補充のために採用を試みるも人はなかなか来ない。来たら来たで、クリニックが希望していたような人材とはかけ離れていたり・・・。
また、人材紹介会社や求人広告会社に数十万円(場合によっては数百万円・・・)払ってようやく採用できた人なのに、あっという間に辞められてしまい、支払ったお金をドブに捨てる結果になったり、と。
スタッフがすぐに辞めるようになったこと及び採用難の問題は、日本社会の変化(少子高齢化・多様化する価値観など)が原因です。環境そのものが変わってしまった以上、粘り強く対処する方法を続けるしかないのでしょう。こういうとき、全てを一瞬で解決してくれるような魔法を求めるとドツボにハマってしまいます。
人が採れない時代の採用について、希望的観測を捨てて向き合ってみましょう。
○採用を自院で難しくしている3つの理由
上記にあげた時代背景もございますが、『自院の理想像への固執』、『求職者への自院に関する情報不足』、『遅い選考プロセス』が採用を困難にしている可能性がございます。
そのため、求人募集を検討する際に、
『自院を客観視して、柔軟な対応』が求められます。
①理想の人材像への固執
完璧な人材を求めることは、採用プロセスを無駄に厳格化し、結果的に適した人材を見逃す原因になります。
そのため、
『採用は「完璧な人材」ではなく、「役割に応えてくれる人材」を見つけるプロセス』という発想が必要になってきます。
具体的には、
・『「何でもできる人」よりも「特定の役割に応える人」を採用するという視点』をもち、理想の人材像から脱却する。
・現状の業務内容を見直し・整理することで応募者母数、その後の定着率も向上する。
②求職者視点の『情報不足』
求職者が自院を選ぶ理由を明確にすべきです。
具体的には、求職者が『この職場だったら、今までの経験を活かし、長く働けそう』という視点で採用の要件定義や求人票などの募集資料作成を推奨いたします。
③採用プロセスの遅さ
遅い採用プロセスは求職者に不安を与えます。迅速で柔軟なプロセスで求職者と信頼を築くことが重要です。
○採用したい「人」の発想から、解決したい「コト」にフォーカスした採用基準の見直し
業務課題と役割に応じた人材要件を定めることで、即戦力としての期待値も明確になり、ミスマッチを減少させます。
具体的な事柄として、下記2つをあげます。
①求める役割の明確化
求める役割と成果を明確にすることで、クリニックと求職者の双方にとって具体的な採用基準を設定でき、応募者の理解度を向上させます。
具体的な業務を把握し、解決に必要な要素を明確にします。
・人材要件のずれ→人材要件が課題解決からずれる場合があります。
・解消すべき不足要素→業務課題の解消に必要な要素を特定します。
②「コト」軸で選ぶ
解決すべき課題に焦点を当てます。
業務の詳細と必要なスキルを具体的に示すことで解決したいコトにフォーカスします。
『コトにフォーカスするメリット』
・明確な役割定義が可能になり、求職者にとって具体的なイメージができる仕事に映る。
・採用のミスマッチを防ぎ、早期離職を防げる。
・人材の即戦力化が進み、採用後すぐに成果が期待できる。
・応えてくれる人材要件が定めやすくなる。
○人材を採用できない覚悟をもち、業務効率化を図る意識をもつ。
採用難である現在、解決したい「コト」にフォーカスした採用基準について、ここまで述べました。
仕事を因数分解して可能なかぎり細かく分け、短時間で経験が浅くても手軽に働ける環境を用意をしてあげることが、求人を検討する場合、必要です。
ただし、人口減少はさらに進みます。
究極的には「採用をあきらめること」すら視野に入れておくべきでしょう。
そのため、患者さんの満足度とスタッフの業務負担の両軸から、業務の効率化の検証、今回のテーマとしてあげた『「コト」にフォーカスした採用基準』の見直し、場合によってはDX化の推進を行うことを推奨いたします。
※採用について、下記リンクもご一読ください。
・求職者が応募を検討したくなる求人票・人手不足時代における応募者の心をつかむ面接術