○はじめに
クリニック開業を検討、もしくは準備を始める前に下記のことをすることを推奨いたします。
・今までご自身が築いてきた人生及び仕事の棚卸し及び自己分析
・上記内容を行ない、今後の【ご自身のありたい姿=ビジョン】の策定
※経営について、下記URLの記事もご一読いただければ幸いです。
https://www.maeyamadajun-shoten.com/cont5/38.html
クリニック開業を検討、もしくは準備を始める前に下記のことをすることを推奨いたします。
・今までご自身が築いてきた人生及び仕事の棚卸し及び自己分析
・上記内容を行ない、今後の【ご自身のありたい姿=ビジョン】の策定
※経営について、下記URLの記事もご一読いただければ幸いです。
https://www.maeyamadajun-shoten.com/cont5/38.html
開業を検討もしくは決断すると、『こんな場所で開業したい。』、『こんな医療機器を導入したい。』、『この時期に開業したい。』など【モノ】や【コト】を先行して考えてしまいがちですが、『ご自身のありたい姿=ビジョン』を策定し、ご自身の判断力を高め、開業準備及びその後の経営をスムーズに行うことを推奨いたします。
・ビジョンとは
ビジョンについて、辞書で調べると
→『理想像。未来像。展望。見通し』と記載があります。
では、クリニックにおけるビジョンを考えてみると、
・クリニックの目指すべき姿・理想
・”Why”=このクリニックは何のために存在するのか?何をすることが目的か?何をしたいのか?を言語化したもの
・事業計画のスタート地点であり、その後の開業計画を進めるためのものさし(判断基準)、そして開業後のゴール
があげられます。
・ビジョン策定のメリット
ビジョン策定のメリットを以下に記載いたしました。
・開業を進める際の優先順位が明確になる
・開業後、経営の意思決定の規準となる
・課題が明確になる(ビジョンと現状との差)
・ゴールが明確になる
・クリニック・スタッフの価値観を統一しやすい
・競合との差別化につながる
・条件によらない採用ができる(理念共感型の採用)
以上のことがあげられます。
今まで多くのクリニック開業及び経営コンサルティングに携わっておりましたが、明確なビジョンをお持ちの方は、私に対して、
『こういう考え方でいるけど、どう思う?』
『私はこう思います、なぜなら〜』
とのやりとりを繰り返して、考えを整理して、行動にうつしておりました。
結果立ち上がりが早く、開業準備中に思い描いていた『ご自身のあり方=ビジョン』を実践されております。
このようにビジョンを策定すると『自責思考』で物事を捉えることができ、考えを整理整頓して、実行にうつすことができます。
・ビジョンの作り方
ビジョンの作り方というと、抽象度が高く、ゼロから生み出すことはなかなか難しい作業なので、作業のハードルを下げるため、『過去行なってきた出来事の棚卸し』を推奨いたします。
具体的には、ノート1冊購入していただき、そのノートに
・開業の想いに立ち返る(なぜ開業しようと思ったか)
・医師としての原点に立ち返る(なぜ医師になろうと思ったか)
・自分自身のモチベーションの源泉や価値観を振り返る(嬉しかったこと、楽しかったこと、頑張ったなどを振り返ると考えやすい)
・尊敬している人、一緒に働いていてよかった人、あまり働きたくない人を振り返る(その理由も記載すると尚、良いです。)
・「誰に」「何を提供したいのか?」で考える
その書き出した内容を見返し、
・売上・利益を得ていくこととの整合性がとれているか
・一貫性があるか、筋が通っているか
・お客様である患者さんのためになっているか(独りよがりになっていないか)
を検証してください。
理想や理念のようなものを考えていくと、どうしても売上や利益といった「現実」と乖離してしまうことがあります。
もちろん、理想や「なぜ」という大前提は絶対外せないところですが、一方で現実的には売上と利益が伴わなければクリニックを経営し続け、理想の医療を患者さんに提供し続けることはできません。逆もまた然りで、売上や利益のみを重視し、理想や「なぜ」が伴わなければ、やはり長続きはしません。
患者さんのためになっているからこそ、継続して来院してくださり、そして継続した売上・利益につながるということを忘れないようにしなければなりません。
ビジョン策定後は、コンセプト策定を検討しましょう。
・コンセプトとは
コンセプトを辞書で調べると
→概念,観念;構想,考えと記載がございます。
ではクリニックにおけるコンセプトを考えてみると
策定したビジョンを実現するために、具体的な構想を検討することです。
具体的には、まずどんな患者さんに、どんな医療を提供していきたいのかを考えます、そうすると『仮想患者設定』が構築され、「自分が得意とする患者さんはどこにいるのか。」「どんな場所に住んでいることが多いのか。」「どんな立地なら来院しやすいのか。」が自ずと決まってきて、診療圏調査や物件選定の際に役立ちます。
それと合わせて、クリニックの広さ、開業当初に雇う従業員の人数や導入する医療機器を検討することです。
もっと細かいことを言うと
・在宅を行うか、行わないか。
・土曜日について、半日診療・全日診療、もしくは終日休診にするのか。
なども含まれます。
開業の初めの一歩は
・今までご自身が築いてきた人生及び仕事の棚卸し及び自己分析
・上記内容を行ない、今後の【ご自身のありたい姿=ビジョン】の策定
・ビジョン→コンセプト→プランニングの順番で行動を起こす。
です。
開業コンサルティング会社の無料相談及びセミナーに参加する前に、出来ましたら『ビジョンの策定』を行なった上で、参加することを推奨いたします。そうすることによって、ご自身の判断基準が明確になり、コンサルティング会社もビジョン達成に向かった提案ができるかと存じます。
ビジョンを第三者に伝えることは、センシティブな内容になるため、初対面の方に伝えるのは抵抗があるかと思いますが、開業する覚悟をつけるにあたり、第三者に忖度ない意見を聞くことが、開業準備を進めるにあたり重要です。
また、開業後も『ビジョン→コンセプト→プランニング』を振り返ることを推奨いたします。
※レセプト提出後、税理士がまとめた試算表の提示後がお勧めです。
開業したいけどモヤモヤしている方へ
ビジョンができると開業に対するマイナスエネルギー(リスク、収入減など)が解消されます。
それでも解消されない場合は、開業以外の働き方を推奨いたします。
開業は、ご自身のやりたいことを実現する反面、診療行為を行いながら経営も管理しなければならないため、かなりの労力がかかることをお含みおきください。