○求職者と事業所の関係の『基本概念』が変わってきた
今まで多くの採用面接に立ち会ってきましたが、現在の『人手不足時代』の採用活動について、下記のような状況に変化してきています。
・数年前;求職者を集める→採用者を選ぶ
・現在;求職者から選ばれる→面接の際にお互い分かり合う
上記を踏まえて、面接で聞くこと・話すことが変わってきています。
・数年前;スキル、経験値
・現在;お互いの『人生の価値観』と『仕事に対する姿勢』、クリニックの経営方針
○面接官の2つの役割
面接官は、応募者を評価することのみが役割であると思われがちですが、応募者の動機形成も同様に重要な役割です。
【基本姿勢】
☑︎応募者と対等な立場で、真摯に向き合うことができる
☑︎応募者が自分を表現しやすい場を作ることができる
【評価(見極め)】
☑︎自院の求める人物像を理解している
☑︎面接の評価基準を理解している
☑︎評価に必要な情報を収集できる
☑︎ぶれない客観的な評価ができる
【動機形成(口説き)】
☑︎応募者の事業所選びの基準を理解できる
☑︎応募者に的確な情報を提供できる
☑︎時には事業所選びの相談相手となれる
○〜面接の流れ〜Step①事前準備
・面接前の10分!かならず事前に準備しましょう。①場の設定等の確認
・面接の位置付け、役割
・評価項目
・必須の確認事項
②応募者について予習
・必ず、事前にエントリーシートや履歴書・職務経歴書に目を通しておきます。
・確認したい項目をおさえておきましょう。
・面接の場で初めて応募書類を読む面接官の印象は極めて悪いです。
エントリーシートに目を落とさずに「そういえば書いてあったけど・・・」と切り出せれば、逆に好印象を与えられます。
○〜面接の流れ〜Step②導入
応募者はほとんどの場合緊張しています。
場の雰囲気を柔らかくし、話しやすいものにしましょう。
◆挨拶・お礼
・応募者は「お客様」です。笑顔でお迎えを。
・応募者だけではなく、面接官も自己紹介をしましょう。
・応募してくれたこと、面接に来てくれたことに対し、礼を尽くす姿勢を示しましょう。
◆アイスブレイク
・応募者が緊張から解放されるような場を作りましょう。
・話しやすい話題を。気候・天気、ニュースなど。
・始めは「はい/いいえ」で答えられるような問い掛けから広げていくとよいです。
◆面接概要の説明
・面接の所要時間
・面接の流れ
・特に話を聞きたいポイント等の概要を伝え、同意を得ておきましょう。
○〜面接の流れ〜Step③情報収集(流れの例)
情報収集の流れをある程度決めておきましょう。
下記は一例です。
評定表にすべての項目を入れておき、聴き漏れのないようにしておくと良いです。
1.職務経歴書・履歴書をなぞる。事実や詳細・不明点の確認
2.最も注力したこと、その中で学んだこと(経験・知識・スキル)
3.長所・短所
4.事業所選びの基準(志望動機)
5.年収そのほか条件、他社の選考状況、入社希望日、入社にあたり考慮すべき事項 等
○〜面接の流れ〜Step③情報収集(質問例)
■ 本人
・自己PRをしてください。
・あなたにとって仕事とは何ですか。
・仕事をしていくうえで、大切にしたい考え方やこだわりはありますか。何でしょうか。
・上司や部下と仕事上で意見が対立したときはどのように対処して来ましたか。
・趣味、特技は何ですか。
・休日はどのように過ごしておられますか。
・あなたの強みを、当社でどのように活かせそうでしょうか。
・あなたの長所は何ですか。
・自分で「向いている」と思うこと(仕事)はどんなものがありますか。
・あなたの欠点、短所は何ですか。
・自分で「向いていない」と思うこと(仕事)はどんなものがありますか。
・周りから、どんな人だと言われることが多いですか。
・ストレスがたまるのはどういう時ですか。
・ストレスがたまった時の解消方法はありますか。どのようにして解消しますか。
■ クリニック
・ 当院のホームページを見ましたか。何か感じることはありましたか。
■ 志望動機
・どんな事業所で働きたいと思っていますか。
・事業所を選ぶ基準は何でしょうか。
・志望動機を教えてください。(または)当院を志望された理由は何ですか?
・この「職種」を選ばれた理由は何ですか。
・あなたのどんなところが当院に合っていると思いますか。
・ 当院で、どんな風に仕事をしたいと思いますか。
・【未経験の職種に応募している場合】
未経験の職種をやってみたいと思った理由は何ですか。
・【前職と業種が違う場合】
前の職場とは違う業界である当社を選ばれた理由は何ですか。
■ 仕事内容
・今の(前の)事業所ではどのような仕事をされていましたか。
・今までの仕事の中での、成功談と失敗談があれば教えてください。また、失敗された際にどのように克服されましたか。
・今の(前の)職場での主な実績としてどのようなものがありますか。
・仕事に関して、あなたが自信を持っていることは何ですか。
■ 就職活動
・当院以外はどこか応募していますか。何社ぐらいですか。
・現在、各社の進行状況はいかがでしょうか。
・どのような雰囲気の事業所で働きたいですか。
・転職でどのようなことを叶えたいですか
・当院は残業時間が月平均○時間です。
また繁忙期の月~○月にかけては休日出勤も月○回ありますが、その点についてはいかがですか。
・ (応募職種とは関係無い資格を取得している場合)
○○という資格を持っておられますが、どうしてその資格を取得されたのですか。
※色を変えてある質問については、相手が答えにくい場合もあります。
「差支えない範囲でお答えいただきたいのですが」「お答えいただける範囲でけっこうですが」などの枕詞を必ず、つけるようにしましょう。
○〜面接の流れ〜Step⑤動機形成
面接の場は、面接官が応募者から情報を収集する場であると同時に、応募者にとっても企業の情報を収集する貴重な機会となります。
質疑応答の場面は、応募者の志望度を高めるチャンスでもあります。
①本人が企業を選ぶ基準
②面接の中で捉えた、本人の個性や長所が活かせる業務
③本人のキャリアビジョンに沿った機会の提供
などについて十分に説明し、本人が向かいたいと思える「未来像」を提供しましょう。
○〜面接の流れ〜Step⑥評価
面接の評価と合否判定は、
面接の終了後に行うことが原則です。
◆面接
面接のゴールは必要な情報を100%聞き出すことです。
情報収集と掘り下げに専念しましょう。
面接終了後
◆評価
応募者を評価する際の指標が選考基準です。
面接で収集した「行動特性」「思考特性」を選考基準と照らし合わせ、絶対評価を行います。
◆合否判定
評価を元に、相対的な調整を交えながら合否を決定します。
これにより、採用の量と質のバランスを維持していきます。
採用連絡は迅速に!!
入社して欲しい人材ほど、他社でも高い評価を得て次々に選考が進んでいます。
評価、判定はなるべく早く終えるように心掛けましょう。
採用連絡は当日でもOK!連絡は遅くても面接後1週間と考えましょう。
○応募者が話したくなる面接とは
「人に伝える」時の悩みで最も多いもののひとつは「相手が聴いているか、理解している
かわからずに不安になる」です。
応募者が不安にならないように!!
・入りを丁寧に(あいさつと御礼と名乗りから)
・笑顔で
・端的なオープンクエスチョン(ただし詰問にならないよう)
・あいづち、うなずき
・伝え返し
・間を尊重する
積極的傾聴を意識する
○他社に差をつける、志望度があがる面接TIPS
・「志望動機」ではなく、「会社選びの基準」を尋ね自院が該当する部分、そうでない部分を説明する
・エントリーシートや履歴書は事前に見ておく
・紙を使用する場合はクリップボードを必ず用意する
・緊張度を高める配置は避ける(机を遠ざけるなど)
○これはNG!面接タブー集
◆厚生労働省による「採用選考時に配慮すべき事項」
厚生労働省が『公正な採用選考の基本』として、採用時の注意点を広報しています。
× 無表情、怪訝な表情
× 腕や足を組む、ふんぞり返る
× 断りもせずにスマートフォンを見る
・質問方法
× 応募者の話と繋がらない質問
× 質問の意図が分からない質問
× 答えがない質問
・応募者の話への対応
× 無反応
× 応募者と対決する、話を否定する
× 回答を途中でさえぎる
◆セクシャルハラスメントに注意
セクシャルハラスメントは、自覚していなくても行っている可能性があります。
「自分は大丈夫」と自信を持っている人ほど危ないものです。
注意しましょう。
・外見や容姿に関する発言
×「スタイルがいいですね」
×「少しダイエットしてはどうですか」
・性的な言動
×相手の身体をジロジロと見る
×卑猥な冗談やからかいを投げかける
・選考に無関係なプライバシー
×結婚の有無や予定を尋ねる
×過去の恋愛経験や現在の状況について訊く
・合否をたてにとった言動
×選考に関係ない食事などに誘う
×合格させることを条件として交際を迫る
○まとめ